ややこしいわ！

今日は夕方から雨が降るらしい。

来たのは滋賀県大津市にある
『MIZUNO CAMPER BASE 富川』

メンバーは、俺、息子、俺の弟の3人。
一族最後の男三人衆。

最初に少しだけ弟のことを書いておく。
弟は今年の初めに脳梗塞になり、右腕が不随、右足もあまり自由に動かせないという仕様になっている。言葉も少しおぼつかない感じ。
という訳で、まったくもって戦力外。
まぁ、わかって連れてきたのだが。

必然的に息子であるマサ（小4）に期待が高まる。というか、頑張ってもらうしかない。

13時過ぎ。
少し早めに到着した。

入口脇に車を停め、チェックインをするため受付に。

オーナーさん、何やら機械部品の修理をされていた。
「こんにちは」と声をかけると
「あ、ちょっと待って」と。

エンジンのスターター？（紐を引っ張るやつ）の修理をされていて手が離せないらしい。

世間話をしながら待つこと10分。

車を見ると息子が少しダレてきている。
これは良くない。
戦力としてアテにしている息子の機嫌が悪くなるのは、非常にまずい。

が、
おじさんは手を休めず世間話を続けている。
とりあえず何も進みそうにないので
「あの、すいません、今日のサイトどれです？」
と聞いたら
「あ、オーナー向こうに居るわ。おれ、これ修理しにきただけやから」

いやいやいや、それ先に聞きたかった！
今までの10分、息子の機嫌、はぁー、もう！

でもまぁ、世間話は楽しかったから良しとしよ。

良い人。

それから5分ほど後、人の良さそうなオーナー登場。

オーナーも当然ながら本日の雨予報を知っており
「すいません。サイトね、雨が降ると水たまりができるんです。せっかくのキャンプやし、テントも汚れるかも知れんので、夕方までは雨も降らんし無料で自由に使ってもらってるんです。夕方で帰られるならキャンセル料も何も必要ないんで」
続けて
「もちろん泊まって頂いてもいいんですが、その場合はすいませんが料金頂きます。すいません。まだ整備が追いついてなくて。とりあえずサイトだけ案内します」
とのこと。

なかなかの神対応。

帰ることも頭を過ぎったが、とりあえずオーナーさんと2人でサイトを見に行く。
歩きながら
「これ、夕立のあとの写真やねんけどね、この辺りが水たまりになりますね。こっちの方が少しマシやね」
とスマホで撮った写真を見せてくれた。

サイトに着くと、テントを張るならこっち向きがいいとか、こっち側がいいとか、2人で写真を見ながら、モデルハウスを見に来た新婚さんのようにレイアウトを決めていく。

色々と提案して頂いたので
「とりあえずテント張ってみます！」
となった。

『人の良さそうなオーナーさん』から『人の良いオーナーさん』へとランクアップした。

なんで！？

車からテントを降ろし始める。

弟に
「持てるやつだけ荷物降ろして」
と頼むが
「んー、むりかなぁー。ほら、おれ、片手やからむりやなぁー。悪いなぁ。」
とニヤニヤしながら返してきた。

ちっ！と思いながら、仕方なく息子と俺で降ろし始める。

今回も登場するは
『Coleman タフスクリーン2ルームハウス』
相変わらずの重さ。

ある程度荷物を降ろしたので、サイト内を少し徘徊しながらテントを張る位置を最終確認。

「マサ、ここにこっち向きでテント設営しよか」

息子に話しかけながら振り向くと、息子の姿は無く、代わりに目に入って来たのは、自分の椅子だけ出してクーラーから取り出したビールを飲んでる弟の姿。

いや、なんでそーなる！？

そんな俺の気持ちなど知らずに
「マサ、川に行ったでー」
と教えてくれる弟。

『もぉ！先にテントやん！手伝ってくれよ！』
と思いながら川に歩き始めたら、川の方から息子がこちらに戻ってきた。
が、息子、上から下までびちょ濡れ。

いや、なんでそーなる！？

「おま、おまえ、え？なに？なに！？」
と驚く俺に
「ちゃうやん。川あるからさ、少し入ってさ、でっかい岩の上に登ろうとしたら、なんかヌルヌルやねん。滑るやん。おれ、落ちるやん。川やから濡れるやん。行ってきてみ。パパもなるから。そしたらな、おれの気持ちもわかるわ」
とイラついた感じで説明してくれた。

いや、そこじゃなくて
『なんでもう川！？』
やねんけど。

ビール飲みながらびちょ濡れの息子を笑う愚弟。
自分で川に入り、自分で滑ってびちょ濡れやのに不機嫌な愚息。

これで戦力外2人。
またしても、おれ、大変なやつ。

なんとかなるもんです。

雨予報ということで着替えを余分に持ってきていたため、車内で乾いた服に着替えた息子。

少し機嫌も良くなり、ペグダウンから参戦。
とりあえず、ビール2本目の愚弟は放置しといて、テントの設営を終わらせる。

当然ながらこのテントの下で焚き火は無理。でも、雨が降ると焚き火ができない。

ビール2本目も空きそうな感じの弟が
「ウインナーたべたいなぁー。ウインナーが、たべたいなぁー」
と、独り言のように、誰に言うでもなく呟いている。

まぁ、ウインナーはどうでもいいが、火が必要なのは確かだ。

ここで車に積みっぱなしの
『SOOMLOOM ミリタリーテント』（パップテント）
を使ってみることに。


パップテントの前幕をはね上げるための長めのポールをテントの中に入れメインポールに。これで少し高さがでる。
で、パップテントの前幕のハトメをタフスクリーンの横幕をはね上げたポールの先端に差す。
後ろとサイドをペグで固定して、屋根付き陣幕のような形にしてみた。

これ、すごくいい。

プライベート感もあって、なんか安心。
お隣さんも火の粉から守られて安心。
T/Cなのでテント下で焚き火をしても安心。
弟はウインナーが焼いてもらえそうになって安心。

テント設営終わりで再度川に走って行った息子だけが心配。

もう着替え足りなくなるぞ、バカ息子。

いつものコンビ。

前までは機関銃のように質問を投げまくってきてた息子が、最近は何も言わずに、焚き火台の設置、薪割り、火付け、をこなしてくれる。

なんやろ。男はみんな火が好きなのか。

娘や嫁は一切触らないし、
「服が臭くなる」
とか
「もぉー、髪に臭いついた！」
とかで、近寄りもしないのに。
息子だけは率先して火と戯れようとする。

そんな息子を眺めていた弟が、これ幸いと
「まさ、ウインナー。なぁ、ウインナーたべたいなぁー。ウインナー、焼いてー」
と絶妙なタイミングで発信した。

何かそろそろ焼いてみたい雰囲気を出していた息子は
「アテやろ？お酒飲んでるから寂しいんやろ？口。アテて言うんやろ？アテしたろ」
と、鼻歌交じりでウインナーを焼き出した。

それを横で眺めながら色々とまだ終わらぬ準備を進めるおれ。

ここで息子が、ウインナー3本も袋から落としよった。

弟の方見よった。

見てないこと確認して網に乗せよった。

そのまま焼いて皿に移しよった。

「はい、アテ。」
何も言わず普通に出しよった。

「うまい！うまいなぁー、まさ」

「俺やで。俺が焼いたんやで。うまいに決まってる」
普通に食わせよった。

まぁ、いいか。
ひとり飲んでたバチやな、うん。

少し早いけど夕食。

なんだかんだ用意してたら、腹が減ってきた。

ウインナー焼きながらつまみ食いしてる息子と、落ちたウインナー「うまいなぁー、うまいなぁー」言いながら食べてる弟。

少し早いけど、この流れのまま夕食にすることに。

メスティンで1合半の米を炊く。

「飯盒ちゃうやん。こんなん無理やろ。固形燃料やん。途中で消えるやん」
弟が3本目のチューハイを飲みながら絡んでくる。

ここはひとまずスルーして、ハンバーグを息子に渡す。

「これは落とすなよ」
と付け足すと、
「え？あ、ん？なにが？」
と軽くおどおどしたあと
「はぁー、ママは今ごろ何してるんかなぁー」
と呟きながらスキレットを取り出し焼き始める。

まったくかわせてないぞ、息子。

その後、『落ちたウインナー美味しい君』と、『なんでバレたんや！見てたんか！君』と『白菜と豚肉の焚物・鉄板焼きステーキ・鶏肉の甘辛炒め・椎茸のバター焼き・エビのガーリックソテーを汗をかきながら作って疲れた君』で、美味しく仲良く夕食を頂いた。

恒例のお風呂

お腹もふくれ、少し休憩もしたので、雨が降る前にパップテントだけ撤収することに。

何もしてなくて悪いと思った弟と、落ちたウインナー食べさせたのバレててバツが悪い息子が、頑張って手伝ってくれた。

まぁ、2人でペグ1本づつ抜いてくれただけやけど。

全くの余談になるが、、、

来週、このパップテントでソロキャン予定。初めてのソロ。色々と不安。
野犬とか来たらどーしよ。
ヤンキーにテントバンバン叩かれたらどーしよ。
寂しくなって帰りたくなったらどーしよ。
でも、ソロキャンしてみたい。
ひとりでゆっくりしてみたい。
でもやっぱり色々不安。。。
という感じ。最初はみんなも俺と同じように不安なんかな？
でも、１回行くと慣れて楽しくなるんかな？

とか、そんなソロキャンへの色々な想いが頭を駆け巡ってるとポツポツ雨が降ってきた。

すごくいいタイミングで撤収できた！
さすがやな、おれ。

怠けてたら雨の中での撤収作業になっていた。そんなナイスな撤収も、誰ひとりとして褒めてはくれず、褒めるどころか
「することないなぁー。お風呂いきたいなぁー。汗かいたからなぁー」
と、ペグ1本しか抜いてない弟が言い始めた。
どこに汗をかく要素があったのかは不明。

「おれ、川に落ちたから気持ち悪いねんな。川って自然の川やから、あんまりキレイじゃないしな。おれも風呂入りたいわ」
と、川より汚い地面に落ちたウインナー食べさせた息子も同調して言い出した。

仕方ないのでスマホで近くのお風呂を探して、よさげな風呂屋に行くことに。

車で20分のところに
『大津温泉 おふろcaféびわこ座』
というお風呂屋さんがあった。
ラドンを含む天然温泉。
よく考えると、このところ毎週温泉に浸かってる息子、なんか生意気。

お風呂屋はとても豪華な感じ。
和のテイストを含みながら、それでいて近代的な、なんちゃがかんちゃら。
ま、オシャレなお風呂ってこと。

料金が時間制で、60分、90分、フリータイムの3パターン。
ここは1番安い60分のコースで。
男だけなので60分でも充分温まった。

風呂上がりに
「アイスがたべたいなぁー」と弟。
「おれ、チョコとバニラ的なやつ」と息子。
聞こえないフリもできたけど、俺も少し食べたかったので、帰り道、コンビニに寄ってアイスを購入。

テントに戻って2人でアイスとお菓子を食べて、
「ヒマやなぁ、ヒマや」
とポケットWiFiの電波が無いことを嘆きながら愚弟と愚息、就寝。

俺はアイスを食べたあと、風が強くなってきてたのでテントのロープの張りの確認と、周囲の見回り。
ゴミの分別と、テーブルの上の片付け。
翌日の朝食の準備と、りえっちさんが返信くれてたのでCAMPiiiのチェック。
嫁、りえっちさんに弟子入りなった。よく分からないが洗脳するらしい。任せとこ。
で、少し眠気も来たので、コットに横になりながら、ちょいツムスタして俺も就寝。

らーめん、うまし。

翌朝、いつものようにホットサンドを作る。
ひとつ焼けると、ひとりを起こす。
もひとつ焼けると、もひとり起こす。
最後に自分の分を焼き、コーヒータイム。

起きてから準備して、焼いて、起こして、焼いて、起こして、やっと少し一息。
やのに弟が
「きのうの、にく、あるやん。焼いてーや。なぁ、にく、焼いてーや。」

これは多分、肉が焼けるまで言い続けるやつ。
そう思った俺は何も言わずに肉焼いた。

ここのチェックアウトは13時。
昼食は撤収作業のことを思うと食べてる間もない。

なのでコーヒータイム中に何かいいとこないか探す。

見つけたのは
『天下一品 上朝宮店』

ここの天下一品は、古民家をそのまま店舗にしていて、しかも、ここでしか食べれない限定メニューか多くあるみたい。

昨日から肉、肉、肉で少し胃腸も疲れていたが、2人に意見を聞くと
「いいやん、ラーメン。全然食べれる。ラーメン大盛りにしよ♪」
と、『胃袋まで馬鹿なんですw』アピールしてきた。

「ラーメン食べに行くからには、しっかり働いてくれ」
「まーかーせーろぉぉー！」

安い条件に俄然張り切って撤収作業を手伝ってくれた。
設営の時にも安い人参ぶら下げるべきだったと、ひとり反省した。

撤収も終わり、オーナーに挨拶してキャンプ場をあとに。

オーナー、車が見えなくなるまで見送ってくれてた。
それを見ながら息子が
「まだ見てる。･･･まだ見てる。･･･なぁ、まだ見とるで、おやじ」
と、すごく失礼なことを口にしとった。

こいつのラーメン、ネギ抜き言わんといたろ。
と思った。

車で20分ぐらいだったか。
そんなに遠くないところに『天下一品 上朝宮店』はあった。

なかなかの細い道に入り、店舗横の駐車場に車をとめた。
4組の待ちがあったが、思ってたより早く席につけた。

写真で見たままの古民家。
外装も店内も他の店舗と一線を画している。

メニューも他店にはないメニューが多々あり、来てよかったと口を揃えて言った。

あれだけ肉を食べたのに弟は
「牛カイノミステーキチャーハンと、こってりこがしニンニク麺にしよ」
て言うた。
『ごめんなさいwやっぱり胃袋もバカなんですw』と再度アピールした後に、続けて
「マサもチャーハンたべよ。半分こしよ」
と息子を誘惑した。が、
「おれはラーメンだけでいい」
と拒否されてた。

注文を済ませ（ネギ抜き言わなかったが、息子、途中で気付き自分で言うとった。生意気。）、キャンプの反省会をしてると、ラーメンが運ばれてきた。
チャーハンの取り皿も三枚持ってきてくれていた。

弟が再度
「マサ、チャーハン少しだけ取りな」
と小皿を渡すと、ラーメンを食べ始めていた息子が
「んじゃ、もらうわ」
とレンゲを手にした。

弟、ラーメンを食べ
「おいしいな、これ、おいしいわ」
と嬉しそう。

その横で、息子が小皿に入りきらんぐらいチャーハン移動させてる。

弟がラーメンからチャーハンに目を移した。

息子がチャーハンを黙々と移動させてるのを目の当たりにすると、弟はラーメンが口から出そうな勢いで
「ま、まさ！半分こ超えてる！いらんていうたのに、半分こ超えてる！もう半分こちがう！」
とアワアワ言いながら止めようとした。

息子は
「なんかな、疲れてるんかな。ぜんぜん食べれるわ。身体が欲しがってるわ」
とチャーハンを取られまいと口に入れだした。

弟、爆笑しとった。
俺も笑った。
息子は笑いながら食べ続けてた。

まとめ

一族最後の男三人衆。

弟は病気で今までのような生活が難しくなった。
が、弟と過ごす時間は前より増えた。

何も出来ないくせに口だけは出してくる弟。
たまにイライラしたりもする。
弟も言いたいことが伝わらずにイライラしてる時もある。

でも、それでも兄弟。
俺の弟。

弟がキャンプに参加してくれ、俺にとっても弟にとっても、息子にとっても、いい思い出ができた。

最後に
「キャンプ楽しかったか？」
と聞くと
「おもってたより、たのしかったなぁー」
と言ってくれた。

「今年、あと1回はキャンプしよか」
というと
「らいねんの、春でいい」
と返してきた。

最後の最後に
「なんでやねん！」
と言わせてくれた。



追記
投稿前に弟にこれを見せたら
「落ちたやつ、くわせるな」
と笑っていた。

あと、
「長いわ、よむの疲れる」
とも言われた。

ちゃんと読んでくれた人、お疲れ様でした。
今度からもう少しコンパクトにまとめますw