これは私が実際に体験した話です
猛暑日が続く今夏。
台風が近づいていて、とても暑い日曜日の事でした。
熱中症を恐れ、家で『夏の風物詩』的なホラー番組を観ていた私ですが、せっかくのお盆休みなので『外で飯を食うかぁ』と、1人出かけました。
いつも通りの楽しいキャンプになるはずでした
向かう先は山を隔てたN県の池のほとりにあるキャンプ場です。
気温は高かったですが、木々の緑が目に優しく、良いリフレッシュになっていました。
暑い中、「来て良かった」とこの時は思ってました
私が住む街を見下ろすことができるこの峠道。
絶景を楽しみながらの道中はとても楽しいものでした。
『アスファルトからの熱気がキツイけど、出かけて良かったなー』
今思うと予兆だったのかも知れません
「お盆だし混むよねー」と
お墓参り渋滞の車列を横目に進み、
正午ごろに目的地であるキャンプ場に到着しました。
『ぷすん』
この時、急にエンジンが切れました。
再度始動させようとキーを回してもかかりません。
『あっれー?おかしいなー。
暑さでエンジンの調子悪くなったか?』
この時はあまり深く考えず、『エンジン冷ましたら直るだろう』と思っていました。
何事もなかったように時間は過ぎていきます
周りに人は多くないものの、池の辺りをキャンプ地としたかったので、周りに人がいない少し狭いエリアを選びました。
『暑いから早くタープを張ろう』
曰く付きのタープだということを忘れていました
しまった!
このタープは降雨率100%の『呪われしタープ』
「うわー、今日も雨降るんだろうなー
失敗したなー」
と、下らないジンクスを憂いていましたが、細かいことは気にしないタイプなので、
「ま、濡れて帰ったらいいか。
でも、初出しのWHAT KNOTのシートが泥まみれになるのはヤだな」
と、これから起こる事など考えもせず呑気に過ごしていたのです。
穏やかな時間から
少し蒸し暑かったのですが、風がそれなりにありました。
五月蝿すぎない蝉の声、水面を進む足漕ぎボートの音、はしゃぐ子供の声
「良い休日だ」
再来
「どーもー、Uber eatsです」
その声が穏やかな時間を掻き乱しました。
野飯「頼んでません」
配達員「あ、これ、自分のなんで」
野飯「なぜここにいる?」
配達員「いや、くろんど来てるって連絡きたから」
野飯「誰から?」
配達員「内緒」
野飯「わざわざテイクアウトして暑い外で牛丼食う必要ないやろ」
配達員「おっしゃる通り」
だったら店内で食えよ・・・
買わされた
配達員「暑いからアイス買って」
アイスという言葉の誘惑に負けて買ってしまいました。
説明のつかない事が起こり始めたのです
この日はサッポロ一番塩ラーメンをアレンジして食べるつもりでした。
準備していたはずの『ごま油』と『にんにくチューブ』、それに『玉子』が見当たりません。
「あれ?おっかしーなー
ちゃんと持ってきたんだけどなぁ」
牛丼を食べてる配達員に
「ごま油とか知らない?」
と聞いても
「言ってくれたら家から持ってきたのに」
と、どこか次元の違う答えが返ってきます。
違和感は増すが…
見当たらないものは仕方がないので、普通に食べました。
途中、コイツで味変しようと思いましたが、
恐ろしいことにこれも中身がなくなっていたのです。
野飯「サッポロ一番塩ラーメンって普通にうまいよな」
配達員「最近、味噌を食ったんだけど、美味かったよ」
どうも返答が噛み合いません。
私は少し恐怖を覚え始めていました。
謎の膨張感
サッポロ一番塩ラーメンを完食&完飲した私。
「暑いし喉が渇いたな。
ほんとは“ぷしゅ〜”って行きたいけど、
運転して帰らないといけないし、
これで我慢しないとな」
ひとくち〜
ふたくち〜
みくち〜
気がつくと半分以上飲み干してました。
「あ〜、生き返るぅぅぅ」
と至福を感じてたら突然
「ん?なんだ急に腹が苦しくなってきたぞ…」
それはまるで私の身体に何かが棲みついたかのように腹が張ってきたのです。
「は、腹が苦しい…」
「チョコモナカのあと、ドライゼロを飲んだ時は何ともなかったのに…
なぜ、今は腹が張るんだ・・・」
疑惑が確信に変わる
腹が張ってるのに食べたい
なにかこの世のものでは無い力によって動かされてるかのように米を炊いていました。
「さ、さ、さ
さ・・・け・・・
鮭が無性に食べたい」
「鮭、鮭、鮭、鮭・・・」
「鮭、いくら、鮭、いくら…」
この時、私には記憶がありません。
私を見ていた配達員の話では、
『うまっ!うまっ!まいうー!まいうー!』
と、意味不明な言葉を発しながら掻き込んでたようです。
『まるで野生のヒグマのようだった』と。
なにかに導かれるように
池のほとりにある売店。
ここのおでんを見つめてる時に
私は我に戻りました。
「いま、夏だ」
説明のつかない体験はこれで終わりではなかったのです
時間はまだ午後2時過ぎ。
陽はまだ高い時間ですが、周囲からは人が消えていました。
隣でデイキャンプをしていた夫婦
売店近くでバーベキューをしていた家族
ティピーを張っていたカップル
みんな忽然と姿を消しています
違和感を感じた私は
『ここを離れないと』と感じ、帰り支度を始めバイクに跨りました。
「帰りは暗峠(くらがりとうげ)を通らんの?」
配達員が不気味な笑みを浮かべながらそう言ってきます。
暗峠
この暗峠は最大斜度が37%(一説では41%)もある峠道。
平均斜度も16.5%という極狭な国道、いわゆる『酷道』です。
このような登り坂が続く道。
「令和の現代でもこんな道があるだ」
と呟いたその時でした。
なにか得体の知れない巨大な力が坂道を登らせまいと下へと引っ張ったのです。
早くここから離れなければ
その思いとは裏腹にバイクはどんどんと引っ張られ速度が落ちていったのです。
「アクセル全開でも進まない…
エ、エンジンが・・・
エンジンが焼けてしまう…」
とにかく進まないと
私は無我夢中で足漕ぎしていました。
しかしそんな必死な私を嘲笑うかのように、私を引っ張る力はますます強くなったのです。
とうとう力尽きた私は振り返ってしまったのです。
私の記憶はここまでです。
あの体験はいったい何だったのでしょうか…
いまもうっすらと記憶にあるこの街並みも夢だったのかも知れません。
微かに残る『ミルク金時』の味も幻だったのでしょうか。
その謎を解き明かす事はもうできないでしょう。
ただ、私に言える事は
『原付で暗峠に行くことはもう無い』
という事です。
私の体験は以上です。
イワコデジマ、イワコデジマ、本怖、五字切りw
LANIWILL2023年8月19日
配達員さんとの会話が絶妙すぎ。
これ夏になったらシリーズ化しましょう。
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野に出て飯を食う(野飯)2023年8月19日
@LANIWILL さん
配達員との付き合いはもう20年にもなりますから笑
夏の恒例はありですね。
来年は別の酷道でこのネタ作りますかね笑
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ぞのさん2023年8月19日
暗峠を越えると旨いカレー屋かピザ屋さんが有ったような…🤔
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野に出て飯を食う(野飯)2023年8月19日
@ぞのさん
それは大阪側ですかね?
カレーなのかピザなのか。
それともカレーピザだったりしたりして笑
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atelier2023年8月18日
自転車乗りとして、なななchお馴染みの激坂暗峠、
今度チャレンジしたい思います。
配達員さんもお元気そうですな😆✨
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野に出て飯を食う(野飯)2023年8月19日
@atelier さん
チャリダーも何人か見かけましたが、かなりテクニックが必要のようですね。
特に大阪方面に来てへの下りはかなりヤバそうです。
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