冬のおわりを感じさせるようなある日、
私は以前来たことのあった川辺のキャンプ場にやって来たのだった。
季節は巡り自然の景色は変われど、そこにある美しさは普遍である。
管理人さんに挨拶と受付を済ませ、荷物を運び出した。
以前訪れた自分と変わったところは、
自分自身の装備が変わった🏕
何しろキャンプも2年目である。
場数を踏むことで、ノウハウやテクニックもあがっていた。
今回は河原に降りず、場内にサイトを構えることにする。冬の河原はおそらくかなり寒いだろう。ちょうど良い木に囲まれたスペースがあり、ポールをほとんど使わずにテントを張ることが出来た。
もともとが狭いパップテントで、2本のポールを無くせることにより、幕内が少し広々したような気がして、また少し自身の成長を感じた。
以前、安物のペグが敵わなかった硬い土に、チタンのペグがカンカンと刺さっていく。
日差しが春のように暖かくなったとはいえ、
日が暮れてくると、まだまだ冬の寒さは押し寄せる。
かまどストーブに火を起こし焚き火をはじめる。
この日は設営を終えるころになると辺りは薄暗かった。
到着もゆっくりしていたのだが、それには今回は初めて2泊3日キャンプのする予定であったのだ。
この日は風も無く、後ろから灯油ストーブ、前から薪ストーブの暖かさを受け、寒さなど全く感じることがなかった。
何もない小さなキャンプ場で、2泊のゆったりした時間。
しかし、食のテーマだけは決めていた。中華である。
キャンプ場でピータンを食べること自体が異質であるとも思えたが、ピータン自体もまた何年ぶりであっただろう。
その真っ黒なアヒルの卵は、暗黒魔法のように黄金色の麦酒と一緒に空腹の私の胃へと消えていった。
冬の中華の風物詩といえば、
中華まんであろう。
どこかのソロキャン少女もやっていた、ホットサンドメーカー焼き。
なるほど。表面に引いたごま油もあって、カリカリ香ばしい。
片手に持っていた麦酒はすぐに無くなり、私はウヰスキーの小瓶を手にとって開けた。
ダッチオーブンの中から白い湯気と共に現れたのは、
ほかほかの最強の布陣である。
飲茶万歳、中華万歳🙌
ふかふかの真っ白な肉まんも、豚のあふれる肉汁にXO醬と葱油が香るシュウマイも堪らない。
もちろん、このあとのデザートまであん饅だったのは、私と君だけの秘密である。
2日目は
雨の予報であった。
春の天気は変わりやすいという。
が、しかしここのところ毎キャンプ雨に降られ、ふいに雨男という2文字が自分の脳裏をかすめたりもする。
まだ雨の降り出さぬ朝のうちに、
雨対策をし、朝食をとる。
胡桃の蜂蜜漬けとバターの溶け出したホットサンドは、甘さと芳醇な風味が中に詰まっており、コーヒーの苦味を引き立てた。
2泊のキャンプでは、
時はいつもよりもさらにゆっくり流れてゆく。当然のことだが、設営も撤収もないのんびりとした2日目である。
私としては珍しいことに忘れものをしてしまった事に気付き、買い出しに出かけた。
近くの産直市では季節の新鮮な野菜が並べられてらいる。
これからする料理には欠かせない卵も手に入れた。
キャンプ地に帰ると、まずは下ごしらえに取り掛かる。
料理、ことに中華においては、手際は命ともいえるのだ。
おもむろに火を起こし、
薪をくべてゆく。
こいつには大きな火力が必要だ。
充分に油慣らしされた黒光りする鉄鍋を取り出すと、
赤々と燃え盛る炎の上に、それを据えた。
焚き火の火加減を世話しながら、
中華鍋を振るうのはなかなか骨の折れる作業だが、メスティン で硬めに炊き上げた米がいい具合にほぐれてゆく。卵と春野菜の緑も香ばしい匂いの中に混ざり合っていった。
出来上がった卵炒飯に、
肉味噌あんかけをかけてゆく。
無骨だが、破壊力のあるビジュアルである。
使い終わった中華鍋を脇に置くと、私は無心になってそれを頬張った。
夕方になっても、
まだ雨は降り続いていた。
キャンプ場の近くに温泉を見つけたが、コロナの影響で最近はやっていないらしい。
することもなく、ゆったりと時間がながれている。
夕飯の獲物は少々大物になるので、早めに準備をはじめた。
ダッチオーブンの中で、獲物は上から、下から、炭火によりじっくりと火が入ってゆく。
やや小ぶりだが、
まん丸とした鶏の丸焼きの中には、昼間の炒飯の残りが詰められていた。
こいつは、鶏の旨味を余すところなく吸っている。
不味いわけがない。
私が唾を飲み込みメインデッシュに夢中になっていたとき、同じくそれを遠くから見つめる視線を感じた。
そう、招かれざる珍客が現れたのだ。
金髪のその視線の主こそは、
そう、彼である。
キャンプ場を訪れる人々のごちそうにより、食べ物には事欠かないのであろうか?丸々としていた。
やつは泥棒猫である。
目を離したら、その隙に必ずやられる。間違いない。
アキオさんなら、こんなとき躊躇なく追い払えるのだろうが、、
猫好きの私には無理な話である。
その夜は、仲良く鶏の丸焼きを分け合った。
ココアにウヰスキーを入れて、温まり、
焚き火を見つめて、夜空に想いを馳せた。
もう冬もおわり。
このキャンプも終わる。
灯し火はもうあと僅か
聞こえたのは あの人の声
時代の風が吹きすぎ
夜空と油の匂い
ゆらり ゆらり
灯し火はもうあと僅か
見つけたのは 遠いあの星
ホットサンドの中には、
夢以外なら何でも詰め込めるとは誰が言った言葉であったろう。
肉味噌とチーズを詰めても間違いのない美味しさである。
3日目の空は、
綺麗に晴れ、もうこのキャンプ場とも、またしばしのお別れである。
帰路に立ち寄ったるは、
かの源義経公が上陸した、旗山の地。
白き御旗のはためく先は
いざ、鎌倉⁉️
次回、おやじノキャンプ飯 鎌倉編 (あれば⁉︎)乞うご期待!w
ENJOY THE OUTDOORS2022年4月11日
はじめまして!こんばんは😊
料理スタイルカッコいいですね〜
僕も料理はできませんが毎回中華鍋は持っていきます😂
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けいぴー2022年4月11日
@ENJOY THE OUTDOORS
ありがとうございます✨
中華鍋、毎回何に使うんですか❓🤔
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ENJOY THE OUTDOORS2022年4月11日
@けいぴー 料理するときに中華鍋一つで何でもできますし便利ですよ〜僕はナポリタン好きなので麺を茹でるときにも使います👍🏼
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野に出て飯を食う(野飯)2022年3月21日
こんばんは。
中華ざんまいキャンプ良いですねー。
今度やってみよ(笑)
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けいぴー2022年3月22日
@野に出て飯を食う(野飯) ありがとうございます✨
キャンプ場にて中華鍋使いたいだけみたくなってしまいましたが😅、、楽しかったです👍
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