リベンジに巻き込まれる息子。

前回、会社の先輩とソログルして、社会人としての疲れを日々の疲れ以上に溜め込んで終了したキャンプ。
目の前の焚き火の炎が、5m向こうに感じたあの心の感覚は二度と忘れない。

ということで。
事情を説明して息子をキャンプに誘ってみる。
「パパ、仕事嫌いやのに仕事の人と行くからやん。そうなると思ってたわ。しゃーないから一緒に行ったるわ。」
と、OKしてくれた。
（OKしてくれた時の息子の写真。偉そう。）

ただし、条件がいくつか。

①Netflixで『斉木楠雄のΨ難』を10話分ダウンロードしておくこと。
②チョコ系のお菓子を用意すること。
③仕事終わりは汗くさいからお風呂に入ってから行くこと。
④朝はホットサンドにすること。
⑤帰りにマクドでポテトを買うこと。

これらの条件を満たすことを約束させられた。
ま、余裕。

焼き魚より息子の機嫌。

金曜日。
仕事が終わると家に直行した。

息子は自分なりにキャンプの用意をして待っていた。
ほとんどの荷物は前日に車の中に積み込んでいたので、条件③のお風呂を済ませる。

お風呂に入っている間に、スマホで条件①の『斉木楠雄のΨ難』をダウンロードしておいた。
息子、これが大好きでもう7周は見てる。
特に燃堂がお気に入りらしい。
ま、知ってる人にしかわからないが。

というか、キャンプ行くのに動画ダウンロードしまくられるのも、なんか寂しい。。。

お風呂から上がりクーラーにビール2とハイボール2、大好きなほろよいの白いサワーを入れると
「入れすぎやろ、それ。まあ、前のキャンプがそれぐらい嫌やったってことやな」
と、核心をつかれドキッとしたので、ハイボール2は冷蔵庫になおした。

出発前に動画がダウンロードされているかチェックが入った。
「んー、足らんな」
と、『ガムボール』を5話追加して、やっと出発。

近所のスーパーで食材を買う。
条件④のホットサンドの具材にポテサラをチョイスする息子。
もちろんハムとチーズも。

100均で買ったBBQシートを使ってみたかったので、晩ごはんに焼き魚を頑張って提案するも
「無いな、それは。」
と一言で却下され、父の頑張り虚しく『甘口カレー鍋』になった。

嬉しいけど『え？』てなるやつ。

湖岸緑地に向かう車中、息子が
「キャンプさ、そんなに嫌いじゃないけど、することないねんな。パパのこともそんなに嫌いじゃないけど,ずっとは無理や。だから斉木とか言うてん。気にせんといてな。」
と、優しさと冷たさの諸刃の剣で切りつけてきた。
一瞬、嬉しいけど『ん？んー！？』てなる。
こーゆーとこ、ママに似てる。

『そんなに嫌いじゃない』という言葉が胸に突き刺さったまま、最低でも『好きやけど』に変えてもらうため、遊具のある湖岸緑地を探す。

探してみるとあるもんで、志那2より少し北上したところに遊具付きキャンプOKな緑地があった。
そこにナビを設定し直して再度車を走らせる。

到着したら駐車場はガラガラ。
駐車場にはキャンピングカーが一台だけだったので、当然テントはゼロ。

とりあえず遊具を見に行くが、保育園児が遊ぶためのような遊具のみ。
（写真は昼のやつ）

息子は
「んー、15分やな。」
と、遊具を遊べる時間で評価。

周りに誰もいないうえに、遠くに犬の影が見えたので、息子と話し合い、通り過ぎた志那2に戻ることに。

息子、初設営。

志那2は今日も大盛況。
なにが違うのか。車で5分走ればガラガラの緑地もあるのに、何が違うのか。

いつもテントを張る場所に他のキャンパーさんが陣取っていたため、今回は少し奥に行く。

今日は息子が一人でテントの設営をするらしい。
前回『俺は見て覚える派』と言っていたので、どこまでできるか放置してみた。

テントを広げ、ペグダウンする位置を決め、ポールを差し込みロープをかけて、立ち上げ。
その後、テント本体のペグダウンをして完成。
（うちのパップテントの設営方法は、YouTuber『チキューギ』のユウさんの設営方法）

焚き火やコット等、他の準備をしながら音だけ聞いていたが、完成したっぽい。
「うっしゃ！できた！」
の声に振り返ると、
「おお！できてるやん！やるな！」
そこにはいつもより堂々としたパップテントが完成していた。

ほんとにいつもより堂々としている。

いや、堂々としすぎている。

何かがおかしい。

息子も自分が建てたテントを眺め、
『何かがおかしいぞ？』
の顔をしている。

よくよく見てみると、スカートが地面の上でひらひらしているし、テント自体もいつもより奥行きがペラい。なのに正面から見るといつもより大きく見える。

年間通して半袖しか持っていない俺がここで寝ると、朝には冷たく固くなっていそうなテント。

チャックを開けて中を確認すると、予想通り前幕を跳ね上げるポール（長い方）がドッシリとテントを支えていた。
そりゃ堂々としてるはず。

それがわかった息子は
「あとはパパの仕事や。おれは火つけとく」
と、肩を落として焚き火台のほうに行ってしまった。

父として。

張り縄を緩め、地面に頭までめり込んだペグを抜いて、ポールを挿し換え、再設営。

でもまあ、よくできていた。
やり直しを頼まれたことも、なんかまだ必要とされているようで嬉しかった。

テントを再設営しながら、落ち込んでいるであろう息子に父として何と声をかけようか考えていた。
『失敗は成功のもと、や。俺も何回も失敗した。今日の失敗があったからこそ、次はうまくできるんや』
よし、これでいこう！

かける声を決めて、すでに焚き火を開始している息子のもとに行くと
「これ使いやすい！すごい良いわ！スノーピークかっこいいしな！」
と、先日、息子のために購入したスノピの火ばさみを持ってめちゃくちゃ楽しそう。

「お、おぉ、そりゃ良かった。あー、テント直しといたで」
というと
「おつかれ！まあ、火にあたり！」
と、想像の斜め上から労ってくれた。

一応かける言葉も考えたので、父として
「なぁ、マサ。テントな、失敗したけど、」
と言いかけると
「わかってる、わかってる。あのなぁ、パパ。細かいことはいいねんけど、ポールは分けてまとめといた方がいいと思うで」
と言われた。

父「そやな」しか返せず終わった。

だって2人じゃ狭いし。

それからカレー鍋を堪能した。

普段、野菜を「女の食い物」と言って食べない息子も、今日は「野菜もうまいな」と食べていた。

家の冷蔵庫から黙って拝借してきたイカと豚肉を息子が焼いてくれ、具材のなくなった鍋にご飯とチーズを入れカレーリゾットにして食べた。
これもうまかった。

食べ終わると焚き火を眺め少し話してたが、息子は寒さに耐えれず寝袋に入り動画鑑賞。

たまに出てきて、少し話しながらお気に入りになった火ばさみで薪をいじっていく。
動画みてることをそれなりに気にしてるんやろな、と思った。

火が消えたことを確認し、俺もそろそろ寝ようと思い、道具をテント内に引っ張り込む。

いつも基本的に道具は全てテント内に入れる。昔、窃盗にあってからの習慣になっている。
が、パップテントにコット二台並べて、荷物を入れるのは一苦労。

『んー！二人用テントほしい！でも、嫁がなぁー』と毎度思う。
※この数日後、結局強引に二人用ワンポールテント（HAPI 2P）を買うことになる。

お前が父やな、もう。

朝、息子に起こされて起床。

すごく寒い！

Amazonで買った3000円の寝袋もそろそろ限界かも。
身体を暖めるために焚き火をして、条件④のホットサンドの準備をする。

息子は朝から、少し離れたところで薪割り職人になっている。
息子曰く
「まだ寝てる人いるし、薪割りの音って響くから、あっちで薪割りするわ。」
さすが薪割り職人さんだ。

俺も負けじとホットサンド職人になろうとしたが、
「ん？あれ？え？？」
ホットサンドメーカーが見つからない。
どこを探しても見つからない。
そういや入れた記憶も見つからない。
息子が条件にまであげていたホットサンドが作れない。

息子が落ち込むこと覚悟で、薪割り場まで行き
「マサ、ごめん。ホットサンドメーカー忘れた。申し訳ない。」
と謝ると、
「えぇー！ざんねん！でも、いいで。しゃーない。これで次は忘れんやろ？」
とフォローされた。

仕方ないので、スキレットにハム、チーズ、ポテトを火にかけ、食パンを乗せ両面焼く。

焼きながら
『あ、テントのときに言おうとしてたこと言われてしまってる・・・』
と思った。

総評「まあ、90点やな。」（評価者:息子）

焼き上がったパンは思っていたより美味しく、今後のレパートリーに追加した。

その後、しばし2人で動画を鑑賞し、テントの撤収作業を息子に教えながら片付けて、緑地をあとにした。

近くにある道の駅に寄り、ママと娘にお土産を買う。
条件⑤の『マクドでポテト』もクリアし、ホットサンド以外の条件は満たした。

まとめ

父のわがままリベンジキャンプ。

付き合ってくれた息子は、
テントを一人で設営できたり、励まさずとも元気になっていたりと、少し寂しく感じるところもあったけど、父をフォローする優しさや強さを見せてくれた。

父の心はしっかり満たされてリベンジは成功した。

やっぱキャンプっていいな、と思わせてくれた息子に感謝。。。