『仕事、仕事、仕事』
毎年、1月から5月まで繁忙期で仕事量が通常の倍近くになる。
毎年、毎年。
『あけましておめでとう!』
をスタートの合図に、終わりの見えないメリーゴーランドに乗せられる気分。
そりゃストレスも半端なく、行き場を無くしたそれらは頭頂部に集まり毛根を攻撃するという、なんともストレスらしい攻撃をしてきた。
そんな僕を見かねてか、それともまったくの『ついで』なのか、あまりにも突然すぎて『理由』を考えてしまうほど唐突に、ここCampiiiでお世話になっているデッシー氏がキャンプに誘ってくれた。
「ゴールデンウィークにそっちまで行くからよォ、肉よォ、出て来いよなァ!」
(ホントはもっと丁寧に)
もはや、先まで悩んでいた『理由』なんて何でもいい。
あのCampiiiのスターである、いぶし銀のデッシー氏が声を掛けて下さっている。
それだけで、その事実だけで、仕事頑張ってきてよかった!と心から思えた。
と、同時に、毛根にわずかばかりではあるが、力が蘇ってくるのを感じた。
『息子』
5月1日。天気は曇り。
朝から家の用事をバタバタと済ませ、部屋に籠りキャンプの用意をする。
会社にある出勤ボードには、ペン先が潰れる程の筆圧で
『リフレッシュ休暇!』
と書いてきた。
そちらの準備も万端、である。
今日の夕刻、いぶし銀のデッシー氏と笠置キャンプ場で合流する予定。いつもよりソワソワしながら車にキャンプギアを載せていく。
その様子を見ていた息子が
「なんなん?キャンプ行くん?あー、悪いけど俺は行かれへんで」
と、誘ってもいない息子が、もちろん聞いてもいない質問に答えてきた。
「いいよ、今日は。関東からデッシーさんが来てくれて一緒にキャンプするから」
「あー、そうなんや。デッシーさんて知らんけど、ごめんて言うといて」
と、もはや止められぬ程の勘違いを始めている息子に
「わかった。言うとくわ」
としか返せなかった。
「明日、学校休んでいいんやったら行ってもいいんやけどなぁー」
は聞こえていないことにした。
『お肉が好きです』
キャンプの準備を続けていると、嫁が
「何食べるん?買い物行かなあかんねやろ?買って来たるから何が要るんか言うて」
と言うので、買い出しを頼むことに。
しかし、こんなところで、しかも意外なことで悩んでしまう。
それは『肉』であった。
「んー、お肉が好きです。て言うてしもてるからなぁー。んーーー。」
『お肉が好きです』という名前が、こんなところで干渉してくるとは思わなかった。『お肉が好きです』と、名前と好きな食べ物を同時に相手に伝えている、そんなお肉が好きなおっさんなのに、やってきたのはお肉を持たない只のおっさん。
これは非常にデッシー氏に悪いのではないか?最大の裏切り行為ではないのか?
が、前日に、娘の中学入学祝いで、しこたま肉を食べていた自分的には、申し訳ないが、はっきり言って、肉はない。
それに、デッシー氏はデッシー氏の食べたいものを持ってきているかもしれないし、なんならダイエットで肉を封印しているかもしれない。
少し照れながら肉を取り出した俺を『うわぁー、名前のイメージ守るために肉や!単純すぎて草生えるわwww』と思われるかもしれない。
そんな風に色々と考えを巡らしていたが、気がつくと
「な、鍋にしよっかなぁー!う、うん、鍋にしよー!」
と、嫁に伝えていた。
『合流』
自宅から目的のキャンプ地までは1時間。
出発をLINEで告げると
『おめぇーよォ、デッシー様によォー、抹茶オレ買ってこいよォ!』
(ホントはもっと気さくに)
とデッシー氏から依頼をうける。
キャンプ地に一番近いコンビニで抹茶オレをGETし、いよいよ笠置キャンプ場に。
受付のおばさんに1万円をかすめ取られそうになったが、2人のテントが並ぶ川辺のエリアに無事に到着した。
そこには髭が似合う男前のデッシー氏と、ほろ酔いを少し通り過ぎたニコニコ顔のIZUIZU氏がいた。
「こんにちわ!どうも、お肉です!」
「会えましたね!デッシーです!」
「どうも!イズヒズれす!」
「え?イズイズさん、まあまあ飲んでますやんw」
「いやいや、ちょんなに飲んれないよw」
(ホントは、も少しちゃんと話せてたけど、このイメージで固定)
と、軽く挨拶を交わし、ほろ酔いを少し通り過ぎたIZUIZU氏が出してくれた椅子に座り、早速ビールを開けた。
飲みながらデッシー氏の今日までの旅の話や、IZUIZU氏が午前中から待っていた話を聞いた。
話を聞いている間も、心の中で
『すげー!あのバイクや!わぁー!あのテントや!』
と、はしゃいでいた。
『にやけ顔』
ひとしきり話していると、少し肌寒くなってきた。
寒さを感じるほどに緊張も解けてきたので、テントを設営することに。
二人のテントと横並びに設営を開始。
SOOMLOOM HAPI 2P。
人に見守られながらの設営は、なにか試験を受けているような緊張感があったが、終始、背後からキャンプ談義が聞こえてきて、その嬉しさに顔がニヤニヤしてしまった。
おそらく、後にも先にも、こんなにニヤけ顔でペグを打つことはないだろうな、と思った。
テントを張り終わっても、そのテントについて色々と話している。
「思っていたより広いよね!」
「スカートもインナーも付いてコスパ高いよね!」
「これは良いテントだね!」
息子もテントについて色々と意見をくれるが、やはりレベルが違う。
そうなると嬉しさのレベルも違う。
息子に認められてもニヤニヤしてしまう僕は、きっと凄くにやけてしまっていただろう。
娘と嫁に至っては
「いくらしたん?」
から始まり
「なんで買ったん?」
「なんで要るん?」
「さっきから言うてるロマンてなんなん?」
と、矢継ぎ早に攻め立ててきて、最終的には
「これでいつでも家出ていけるな」
とまで言われてしまう。
なので、当然にして必然、にやけない訳がない。
それを二人に伝えると
「よかった、よかったw」
と、共ににやけてくれた。
『うんまっ!』
テントの設営が終わり、IZUIZUさんの酒のあてを作ろうと焚き火台に火を入れる。
少し肌寒くなってきていたこともあって、二人も火のある僕のテント前に。
ユニフレームのファイアグリルに丸パイプを差し、高さをだして使うスタイルに
「これ、いいね。やってみよ」
と、同じ焚き火台をもっているデッシー氏と話しながら
・砂ずり
・厚揚げ
・漬けハラミ
を焼いていく。
デッシー氏も、伊勢で購入した練り物や肉味噌を持ってきて、一緒に焼いて食べる。
練り物好きには堪らない逸品である。
IZUIZUさんはホルモンミックスを持ってきており、これもとてもうんまかった。
「あ、おいひい。うん、これもおいひい」
と、更にお酒が入り、少し赤くなったニコニコ顔で喜んで食べてくれていた。
このまま夕食用の鍋も炊いて三人で分けて食べた。
ギアの話。CAMPiiiの話。笠置がなぜ聖地なのか?お肉の記事は長くないか?という話。
そんな話とともに、ひとしきり食べ終わったデッシー氏が
「今回の優勝は砂ずり!」
と発表し、IZUIZUさんも
「うん、うん」
と頷き、うんまい夕食はおわった。
『買い出しとサプライズ』
デッシー氏のタバコがなくなった。
緊急事態である。
「これよォ、これがないとよォ、俺、もたねぇんだよォー!」
(ホントはもっとスマートに)
ということで、笠置キャンプ場の近くにあるコンビニに買い出しに行くことに。
コンビニに向かう道中で、おもむろにデッシー氏が
「はい、これ。記念に」
とナイフを取り出して手渡してくれた。
「いやいやいやいや!なにも返すものないからいいで!」
「仕事忙しいのに来てくれたからw」
と、男前なデッシー氏が、男前な横顔で言ってくれたので
「あざますっ!大事に使います!」
と受け取った。
感動した。
さすが、いぶし銀デッシー!
横顔もやることも男前であった。
『寝落ち』
無事、タバコをゲット。
僕も夜食用のカップラーメン、菓子パンを購入し、テントに戻る。
焚き火で湯を沸かし、揺れる炎を見ながら、あれだこれだと話し込む。
IZUIZUさんは、僕が使っているケトルを指差し
「ん、トリャンギヤ(トランギア)」
と発言した後、そのままチェアーで就寝。
気温は6度ぐらい。かなり寒い。
IZUIZU氏!このままじゃ風邪引くぞ!
そう思ったが、あまりに気持ちよさそうなので、そのままにしておく。
『これがチルというやつか』
と、寒さにかなり身を固くして眠っているIZUIZU氏を眺めながら、そう思った。
『起床。そして別れ』
朝、5時半。
いつもよりかなり早起きした。
なぜなら、嫁からシチューを持たされていたからだ。
「朝は寒いからな。シチュー作ったし温めて食べな」
なんとも粋な計らいである。
が、二人が帰ってしまっていては、そんな嫁の計らいも、ただの申し訳無さの塊になってしまう。そうならないための早起きである。
目が覚めたことに安堵しつつテントの外へ。
デッシー氏も、夜中に爆音のいびきを轟かせていたIZUIZU氏も起きていた。
朝もやのかかる笠置キャンプ場。
冷たくも澄んだ空気。
遠くから聞こえる薪割りの音。
やっぱキャンプはいい!と思いながら、温めたシチューをカップに注ぎ、ホットサンドと共に二人に渡す。
ほろ酔いの人から二日酔いの人になっていたIZUIZU氏も氏は、昨夜からデッシー氏の帰路キャンプに同行するか悩んでいた。
いや、悩んでいたというより、都合がつけば同行したい、といった感じだった。
『都合がつけば』と本人も言っていたが、その顔は決意に満ちていて、誰がどう見たところで
「まぁ、行くよね、これは」
の状態であった。
その後、値落ちしたこともあり、一応
「IZUIZUさん、キャンプ同行するん?」
と聞いたが、答えるのを待つ必要もなく、その笑顔で『いくよねw』と分かった。
朝日に濡れたテントを乾かしてもらい、撤収。
ふたりとも慣れた手付きで積載し、別れのとき。
最後まで少しの緊張を残していた僕にも気さくに接してくれた二人。
サプライズプレゼントまでくれた男前デッシー氏。
一番笑った記事が、車内で灯油をぶちまけた僕の記事であったIZUIZU氏。
二人とも最高にイケてるおやじで、キャンプをしていて良かったと心から思わせてくれた。
そんな二人に感謝しつつ、旅の無事を祈りながら、今回のキャンプも無事に終了となった。
帰りの車中、ポケットからナイフを何度も取り出してはニヤニヤ眺めながら家に帰った。
『後日談』
最後まで何事もなくキャンツー旅を終えたデッシー氏から
『シチュー美味しかったって奥さんに伝えておいてください』
と丁寧にお礼のLINEがきた。
嫁に伝えると
「インスタントです。ハウス食品に言うときます」
と、返してきた。
あのデッシー氏に!?
いぶし銀デッシー氏に!?
なんという生意気な態度!!
頂いたナイフがポケットに入っていたので、絶対ダメな使い方をしそうになったが、そのままデッシー氏に伝えると
「ふぁーww」
と返してくれた。
「ふぁーww」の意味はよくわからなかったが、どこまでも男前なデッシー氏であった。
お疲れ様でした!
はやぷさ2022年5月10日
久しぶりのキャンプ投稿✨しかもCAMPiiiで出逢った人とのグルキャンなんて、素敵ですね🍀その後のご家族とのキャンプも最高です😆✨楽しく読まさせて頂きました 🎵これで頭頂部の方も少し安心……?次回も楽しみにしてます😆
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お肉が好きです2022年5月10日
@はやぷさ
あ、今、はやぷささんの記事にコメント書いてたところでしたww
頭頂部は、、、、、、まぁww
また頭頂部の報告を、、、、、、まぁww
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こめぞー2022年5月10日
種族:ゼンゼンウラヤマシクナイシ 訳:超羨ましい
私も人見知りですが、きっと楽しかったんだろうなー…と思うと呑気にソロキャン旅やってた自分を殴りたくなりましたw┏( .-. ┏ ) ┓
お肉さんの長文記事は感情が伝わりすぎてヤバいです。さすが先生です。
私にとってCAMPiii会ってみたい人ランキング同率1位のみなさんの楽しそうな投稿は眩しすぎて!!!
とりあえずなんだかんだ言ってお肉さんの家族の優しさに癒されました(*ˊᵕˋ*)
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お肉が好きです2022年5月10日
@こめぞー
心の声が少し漏れてますよw
いやいやいや!あの方たちと肩を並べるような肉ではないです!バチ当たります!ま、当て返しますがw
僕から見たらこめぞーさんのキャンプ、羨ましいのばっかりです。ということで、いつコチラに来られますか?予約しときますよ👍
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こめぞー2022年5月10日
@お肉が好きです さん
ご謙遜なさらずとも十分みなさん同率キャンプ中毒患者ですww(^ω^)ニコニコ
他のお二方が言うようにお肉さんが関東来る予定ありましたらお待ちしております🤣🤣🤣
あ、でも関西行きたいところはあるのである程度社畜したらきっとまたいつか…!
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IZUIZU2022年5月9日
ホレ、ソンニャニ、酔っハラッテマシタ~?
いや~、マジ楽しかったです。関西まで足を運んだ甲斐がありました! またやりましょうね(^_-)-☆
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お肉が好きです2022年5月9日
@IZUIZU
そこまで酔ってなかったけど、IZUIZUさんのイメージを勝手に固めていこうかとww
僕的にIZUIZUさんはツボやったんで、ぜひぜひまたお願いします!
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